不動産賃貸の財務管理、Excelをやめるべきサイン
監修:金井 雅弘
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物件が1〜2棟のうちは、Excel の管理表でも十分に回ります。ところが棟数と借入が増えるにつれ、Excel は「作った本人にしか分からない」「更新が追いつかない」道具に変わっていきます。気づけば、経営判断のたびに数字をかき集める作業に、貴重な時間を奪われている——ここでは、管理方法を見直すべきサインと、システム移行を検討する際の考え方を整理します。
こんな状態は見直しのサイン
チェックリストで自社の状態を確認する
次のいくつかに当てはまるなら、Excel 管理が限界に近づいているかもしれません。
| チェック項目 | 該当する場合のリスク |
|---|---|
| 物件ごとにファイルが分かれ、全体像が一目で分からない | 会社全体の資金繰りを即答できない |
| 借入の残高や次の返済額を、その都度電卓で確認している | 融資相談・金利交渉のたびに準備の手間がかかる(借入一覧表の作り方) |
| 数式が壊れても気づけず、去年の集計が正しいか自信がない | 誤った数字で経営判断をしてしまうリスク |
| 決算前になると、数字をかき集めるだけで数日かかる | 決算・税務対応が後手に回る |
| 担当者が休むと、更新できる人がいなくなる | 属人化により業務が止まる |
Excel が悪いわけではありません。棟数・借入・関係者が増えると、表計算という道具の前提を超えてしまうだけです。棟数が増えたときに起きる壁は複数物件の管理を一元化するには?、借入側に絞った限界の見極めは借入金管理をExcelで続ける限界はどこ?で整理しています。
Excel の限界はどこから来るか
表計算ソフトが抱える構造的な弱点
Excel はセル単位で自由に書ける反面、次の弱点があります。
| 弱点 | 起きること |
|---|---|
| 手入力が前提 | 転記ミス・更新漏れが混入する |
| 数式が属人化 | 作った本人以外が直せない・検証できない |
| 履歴が残りにくい | いつ誰が何を変えたか追えない |
| 複数物件の横断が苦手 | 全体のキャッシュフローが一覧できない |
これらは、物件が増えるほど致命的になります。とくに「全体のキャッシュフローが一覧できない」ことは、融資交渉や買い増し判断のたびに、根拠となる数字をゼロから作り直す負担として跳ね返ってきます。物件単位の手残りの読み方は収益物件のキャッシュフロー(手残り)を正しく読む方法、資金繰り表の更新が続かない構造は資金繰り表のExcel更新が続かない理由を参照してください。
レガシーシステム全般に共通する課題
表計算による属人的な業務管理は、いわゆる「レガシーシステム」が抱える課題と重なる面があります。経済産業省はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にあたり、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムからの脱却を経営課題のひとつとして位置づけています(経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」)。個人が作り込んだExcelシートも、担当者の異動・退職によって「中身が分からないまま使い続けるしかない」状態に陥りやすく、構造としては同じ問題を抱えています。
見直しで得たいのは「全体を一目で」
管理方法を変える目的は、凝ったツールを導入すること自体ではありません。複数物件・複数借入を横断して、資金の全体像を一目で把握できる状態をつくることです。この状態になると、決算の準備が軽くなり、追加融資や金利交渉のときにも、根拠となる数字をすぐ出せるようになります。追加でいくら借りられるかの考え方は不動産賃貸業の借入余力の見方にまとめています。
中小企業庁もIT導入補助金等を通じて、会計・受発注・決済など複数機能を持つITツールの導入を支援しており、手作業からの脱却を後押しする方向性を示しています(中小企業庁「デジタル・IT化支援」)。
システム移行を検討する際の進め方
いきなり全ての業務をシステムに置き換えるのではなく、次の順序で検討すると移行の負担を抑えられます。
- 今のExcelにどんな項目があり、何が不足しているかを棚卸しする
- 複数物件・複数借入を横断して見たい情報(残高・返済予定・資金繰り等)を洗い出す
- 移行後も必要な出力(金融機関提出資料等)がExcel形式で残せるかを確認する
- 一部の業務(例:借入金管理のみ)から段階的に移行し、全社一斉切り替えのリスクを避ける
Smart CFO は、その「全体を一目で」を実現するために作られています
Smart CFO は、不動産賃貸業の複数物件・複数借入の収支と返済を1か所に集約し、事業全体のキャッシュフローを一目で把握できる財務管理ツールです。Excel のように数式が壊れる・属人化する心配がなく、決算前の数字集めや、融資・金利交渉のための資料づくりに追われる時間を大きく減らせます。「管理のための作業」を手放し、経営判断そのものに時間を使う——それが導入後にいちばん変わるところです。資金繰り表やデータ一覧はExcel出力にも対応しているため、移行後も金融機関への提出資料などはこれまで通りExcel形式で活用できます。なお、Smart CFO は会計ソフトの代替ではなく、記帳や決算処理は対象外です。
まずは自社に合うか、気軽に相談する
Excel から乗り換えるべきかは、棟数や借入の複雑さ、関わる人数によって変わります。「うちの規模でも意味があるのか」「今の管理から何がどう楽になるのか」——そんな疑問があれば、下記のお問い合わせから気軽にご相談ください。自社の状況に合わせて、具体的にお答えします。
この記事の監修者
金井 雅弘
株式会社フォートラスト 代表
- 宅地建物取引士
都市銀行での融資業務の経験をもとに、不動産オーナー向けの資金調達支援・財務適正化支援に取り組む。金融と不動産の両面から、賃貸経営の実務に即した視点で記事を監修しています。
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